1.はじめに
もう12月というのに、まだまだ暖かい日は続いていますが、そろそろ冬支度をせねばということで、重い腰をあげて薪ストーブを使うための準備にとりかかりました。
薪ストーブは冬の間心地よい暖かさと炎の揺らぎで最高の癒しを与えてくれる反面、めちゃくちゃ手がかかります。まず安全に使用するために最も重要といっても過言ではないメンテナンス作業があります。主に煙突のススを落としたり、薪ストーブ本体を掃除する作業で、煙突にススがたまると引火して火事になる危険性があるので、必ず毎シーズン実施する必要があります。他には2〜3年に1回程度薪ストーブ扉のガスケット(シールする部分)を交換する必要があります。
薪ストーブ歴7年と経験が浅い私でも、使用しているノルフラム製『メッツォ』のメンテナンスは少しずつコツが掴めてきました。最初は「本当に自分でやって大丈夫?」と不安だらけでしたが、実際にやってみると 仕組みを理解すれば意外とシンプル。むしろメンテしがいのある“素直な構造の薪ストーブ”という印象です。
この記事では、実際に私が行っている 『メッツォ』専用の掃除とメンテナンス手順 をすべて紹介します。年1回の煙突掃除から、シーズンオフの分解掃除、ガスケットロープ交換まで網羅した「説明書」です。薪ストープユーザーの方はぜひ参考にしてください。
✔ メッツォを使っている人
✔ DIYで掃除したい人
✔ プロ業者に頼む前に知識をつけたい人
✔ メンテナンスをサボって火災を起こし
たり、煙逆流させたくない人
2.ストーブの紹介

使っているのはノルフラム(NORFLAM)製の『メッツォ(Mezzo)』というシリーズです。DLDというお店で購入しました。
メッツォに惹かれた理由はシンプルな見た目かなぁ
3.掃除の必要性
薪ストーブは「使って終わり」ではありません。特にメッツォのような高気密タイプのストーブは、ほんの少しのスス溜まりでも燃焼効率に影響します。
掃除しないと・・・
- 🔥 煙突内部でタールが固まり、火災の危険
- 🔥 煙が逆流する(部屋が地獄)
- 🔥 ガラスがススで真っ黒
(せっかくの癒やしの火が台無し) - 🔥 火付きが悪くなる
- 🔥 一酸化炭素中毒のリスク
ちゃんと掃除していても最近の住宅は高気密なので逆流することがあるよ!火付け時に換気扇をつけていると起こりやすいので、逆流したら落ち着いて換気扇を切って、窓を開けると治まるよ!
4.掃除・メンテナンスについて
頻度
| 頻度 | やること |
|---|---|
| 毎日〜数回使用ごと | 灰の処理・ガラスのサッと拭き |
| 月1回程度 | 灰受けの清掃 / 燃焼室のチェック |
| シーズン中1〜2回 ※使用頻度が多い場合 | 煙突内部の点検 |
| シーズンオフ | 本体分解掃除 / ガスケット点検・交換 |
※今回はシーズンオフの、本体分解掃除とガスケット交換の内容を中心に解説します
メッツォは構造がシンプルなので、シーズンオフの分解掃除までは十分自分でできるよ!
必要な道具(実際に使っているもの)
- ✔ 灰スコップ・バケツ
- ✔ 新聞紙
- ✔マスキングテープ
- ✔ゴミ袋
- ✔ ワイヤーブラシ
- ✔ 集塵機
- ✔ 防塵マスク
- ✔プラスドライバー
- ✔ラジオペンチ
- ✔ 煙突ブラシ
- ✔ 脚立
- ✔命綱
- ✔ヘルメット
- ✔潤滑剤
※ガスケット交換に必要な道具は後半で紹介
5.日常メンテナンス
灰の処理(毎回または数回使用ごと)

薪を燃やしていくと必ず灰が溜まります。溜めすぎると空気の流れが悪くなるため7〜8割溜まったら捨てるのが理想です。灰は「火消し壺」に入れて完全消火してから捨てます。
(翌日になっても熱い灰が残っていることが多いので注意)
灰は火持ちを良くしてくれるので、面倒だけど完全に捨てないである程度残しておこう!
ガラスのスス落とし

空気を絞りすぎたり、湿った薪を使うとススがつきやすくなります。自分の場合は、夜中は空気をかなり絞るので、翌朝はススが付いていることが多いですね。オススメは灰を使うクリーニング方法です。
灰を使ったスス落とし方法:
- 濡れたティッシュをガラスに押し当てる
- 灰をつけて軽くこする
- 乾拭きで仕上げる
市販のクリーナーより経済的で環境にも優しいですが、クリーナーは強力なので、こびり付いた汚れには有効ですよ。
炎はクリアなガラスで見たいので、こまめにクリーニングしよう!
6.煙突掃除(年1回必須)
煙突掃除は年に1回は必ずやるべき作業です。使用頻度が高い場合は、年に2回くらいやる場合もあるようですが、自分の地域ではストーブの使用期間が12月〜3月くらいで、1日中使うこともないし、毎日使う訳でもないので1回で十分です。
自宅は屋根に登るのがそんなに苦ではないので、トップから掃除していますので、その方法を紹介します。
煙突内部のススは最も危険な場所。固まると可燃性タールとなり、煙突火災の原因になるので要注意!毎年欠かさず掃除しよう!
【掃除の手順】
- 養生
- 耐火レンガを取り外す
- 屋根に登る(安全最優先)
- 煙突のトップを外しブラシで擦る
- ススが下に落ちるのでストーブ側で回収
- 煙突トップを清掃し塗装する
- 煙突コーキングチェック
手順1:養生

まずは、本体の周辺を養生します。特に白い壁だとススが付くとなかなか落ちないので注意です。うちの壁と後ろにあるふすまは白いので念入りに養生しました。
手順2:耐火レンガを取り外す

耐火レンガをとりはずします。耐火レンガが上面に付いているので外しておかないと煙突を掃除したときにススが下まで落ちてこないので先に外しておきます。
上面には二枚の耐火レンガが使われています。一枚目はそこまで汚れてなかったです。

もう一枚外すと煙突と繋がっている穴が見えます。この状態で煙突を掃除していきます。かなり結構ススが付いていました。
手順3:屋根に登る(安全最優先)

ヘルメットをして三脚を使って屋根の上へ。やっぱり高い所は苦手。煙突に命綱(ロープ)を巻きつけて作業開始。自分の場合は、ロープをホームセンターで買ってきて体に巻きつけていますが、安全第一なので作業しやすい命綱を購入することをオススメします。
手順4:煙突のトップを外しブラシで擦る

まずは排気トップを取り外します。バンドを固定しているネジが錆びていて舐める可能性があるので、先に潤滑剤を塗布することをオススメします。(過去にネジ舐めしてた経験あり)
排気トップはバンドとネジ3箇所でを取り外し、煙突ブラシを投入。ガシガシ擦っていきます。傾斜した屋根の上で煙突ブラシのロッド部分を5〜6本連結する必要があるので、煙突ブラシのロッドキャリーケースあると便利です。入れ物が無いとロッドが屋根から転がり落ちていくことがあります。今回もロッドが転がり落ちて下まで取りにいきました(涙)
煙突ブラシを上下に動かしながら押し込んでいき、ロッドを接続しながら煙突内側のススを落としていきます。途中ですごく抵抗がある箇所もあるけど、お構いなく押し込んで大丈夫です。
ロッドから手を離すと下まで落ちていくので要注意!落としてしまっても下の煙突をバラせば回収できるけど、正直面倒くさい。まぁ1度は経験すると思うけどw
手順5:ススが下に落ちるのでストーブ側で回収

これがワンシーズン分のススの量です。今年は昨年と比べると少なめでした。ススは重さゼロっというくらい軽く舞ってしまうので、灰をいれるバケツに入れて回収しました。
ススは細かくて舞うので、作業時は防塵マスクは必須だよ!いつも足の裏が真っ黒になる・・・
手順6:煙突トップを清掃し塗装する

取り外した排気トップにもススがたくさん付いていたので、分解してワイヤーブラシで擦りました。

ある程度綺麗になったら軽くウエスで拭いて耐熱塗料をスプレーして塗装います。一通りスプレーして乾いたら2度塗りします。再び屋根に登り煙突に排気トップを固定して完了
手順7:煙突コーキングチェック

煙突と屋根の接合部は耐熱シーリングでコーキングされています。7年間何もしていなかったので、そろそろヤバいかなぁと思って剥がそうとしたけど、しっかり弾力もあり劣化していない様子だったので、今年は何もしませんでした。
雨漏りの原因にもなるので、しっかりチェックして必要に応じてコーキングをしよう!
7.本体清掃

室内の煙突とジョイント部のネジ(3箇所)を外し、本体とジョイント部のネジ(1箇所)も外します。煙突を持ち上げながらジョイントを外すと簡単に煙突も取り外せます。
煙突掃除ではジョイント部までは届いていないので、ジョイント部は個別でワイヤーブラシなどで擦ってススを落とします。

続いて外せる部品は全て外し、本体の内部をワイヤーブラシでススや灰を落としていきます。ワイヤーブラシは小さめの先が曲がっているものが作業し易いです。
ワイヤーブラシで擦った後は、集塵機で吸い取ります。普通の掃除機を使ってもできますが、すぐにフィルタが詰まってしまうのであまりオススメできません。自分の場合は、薪ストープ専用の集塵機を購入して使用しています。
薪ストープとは長い付き合いになるので、長い目で見れば専用の集塵機を購入するのも悪くないよ!

耐火レンガや各部品をワイヤーブラシで擦ってキレイにします。この時使うワイヤーブラシは大きいサイズの方が作業しやすいです。場所や部品によって色々使いわけています。

パーツをどんどん組み付けていきます。上面の耐火レンガ以外は簡単に組み付けられます。

上側の耐火レンガは写真のように、左側面の耐火レンガのピンに載せるので少しコツが必要です。少し顔をストーブ本体に入れて見ないと見えにくいかも。下の耐火レンガも左側面の耐火レンガのピンに載せて固定します。この部分が一番難しいけど、何回かやればすぐにコツはつかめますよ!
8.ガスケットの交換
ガスケットロープは経年でつぶれたり、固くなったりして密閉性が落ちて燃焼効率低下の原因になります。扉を閉める時に新聞紙を挟んで、簡単に抜けるくらいになると交換の目安です。薪ストープの使用頻度にもよりますが2〜3年で交換しています。
一見難しそうに見えますが、意外と簡単にできますので、ぜひチャレンジしてみてください。
メッツォのガスケットサイズ
自分が使用しているモデルME220の例です
※モデルや年式によって差がある場合があるので、扉をあけて定規等で測って確認してください
| 場所 | サイズ |
|---|---|
| 正面扉 | 3/8(φ9.5mm≒10mm) |
| ガラス押さえ | 1/4(φ6.3mm≒6mm) |
| サイド扉 | 5/16(φ7.9mm≒8mm) |
※正面扉は結構キツめになります
必要な道具

- ・耐火セメント
- ・マイナスドライバー
- ・ワイヤーブラシ
- ・マスキングテープ
- ・ハサミ
- ・ウェス(ウェットティッシュ)
- ・手袋
交換手順(初心者でも可能)
- 古いガスケットをペリッと剥がす
- 溝の中のカスをマイナスドライバーで掻き出す
- 耐熱パテを塗りガスケットを貼る
- 扉を閉めて乾燥させる(約24時間)

サイドの扉を少し持ち上げて2箇所のピンを抜くと取り外しできます。
①古いガスケットをペリッと剥がす

古いガスケットを外します。マイナスドライバーでグリグリすると意外と簡単に外れます。
②溝の中のカスをマイナスドライバーで掻き出す

ガスケットを外した部分に耐火セメントがこびり付いているので、マイナスドライバーでこそぎます。その後、ワイヤーブラシでゴシゴシします。エアーで吹いて粉を飛ばし、湿った布かウェットティッシュで拭き取って溝を湿らせておきます。
③耐熱パテを塗りガスケットを貼る

耐火セメントを溝に塗布し、マイナスドライバーで引き伸ばします。続いてガスケットを溝に入れていきます。この時、絶対にガスケットを引っ張ってダメです!引っ張って入れると熱で収縮して剥がれてしまいます。ガスケットを切る時はほつれないようにマスキングテープなどを巻いてカットします。
耐火セメントは液状のセメントが出てくるので注意!チューブの場合は出す前にモミモミするのを忘れずに!コーキングガンを使うタイプは、モミモミできないので、液が出ないかウエスなどに出してみてから使ってね!
(この時よくモミモミしないと液状のセメントが出てくるので注意!もちろんモミモミするの忘ていました)
④扉を閉めて乾燥させる(約24時間)

扉はかならず閉めた状態で24時間以上放置します。念のため、新聞紙を挟んで抜けないことは確認しました。

ちなみに、正面の扉は外せないので取り付け状態で交換しました。基本的に側面のやり方と同じですが、ガラスを取り付け、取り外し時は割らないように細心の注意が必要です。
正面扉のガスケット交換は、しっかり養生してやらないと部屋が大変なことになるので注意だよ!
9.仕上げと安全対策
仕上げ

最後に薪ストーブ本体をポリッシュを付けて磨き上げると完成です。どうしてもおでんの汁がこぼれた箇所などは錆びているので、やっておくことをオススメします。
ポリッシュを使うと塗った後や薪ストーブ使い始めに匂いがすることがあるよ!ワシはあんまり気にならんけどw

内部のサビもあったのでポリッシュで磨いておきました。
安全対策

まだ小さい子供がいるので、柵をして完成。正直じゃまくさいけど危ないのでまだ必要です。割と良い値段します(涙)
10. DIYでやるべき範囲とプロに頼むべき範囲
DIYで十分できる
✔ 灰掃除
✔ ガラス掃除
✔ 燃焼室レンガの掃除
✔ ガスケット交換
✔ 軽度の煙突掃除
プロに頼んだ方が良い
✔ 高所作業(屋根が急勾配)
✔ 煙突内部にタールがベッタリ
✔ 5年以上掃除していない
✔ 火の勢いが急に落ちた
プロの相場:15,000〜30,000円(地域差あり)
※ちなみに自分がお願いするところは、3万円前後の見積でした
11. まとめ
これでメンテナンス作業はバッチリ!冬はあまり好きではないですが、薪ストーブを使うようになって冬が来るのが楽しみです。ほぼ丸一日かかる作業ですが、業者に依頼すると3万円程度はかかるので、今後もできる限り自分でメンテナンスしていきたいですね。
メンテナンスすることで更に薪ストーブへの愛着も湧いてくるので、是非チャレンジしてみてください。記事の内容を順番にやれば、誰でも安全にメンテナンスできます。安全で快適な薪ストーブライフを楽しんでいきましょう!
今後も薪ストーブ関連のギアや薪ストープを使った料理などを紹介していきたいと思います。お楽しみに!ではまた


