洗濯物を干すたびに、なんとなく生乾きのような臭いがする。洗濯物に小さな黒い異物が付着している。市販の洗濯槽クリーナーを何度か試したのに、数日でまた同じ臭いが戻ってくる——。
そんな状態が続いていた我が家の日立ビートウォッシュ(BW-D8SV/洗濯8kg・乾燥4.5kg)を、1日がかりで分解して洗いました。
先に言っておきます。洗濯槽を引き抜いた瞬間、外槽の内側に黒いヘドロがびっしり張り付いていました。あれを見てしまうと、クリーナーを流し込むだけの「槽洗浄コース」では、厚く固まった汚れまでは落とせていなかったのだとよくわかります。
結論から書くと、工具と時間さえ用意できれば、素人でも分解洗浄はできました。かかった費用は約4,500円、作業は1日(約6時間)です。ただし簡単な作業ではありませんし、メーカー保証は確実に切れます。そこを承知のうえで読み進めてください。
なぜ分解しようと思ったのか
槽洗浄コースでは、そもそも届かない場所がある
縦型洗濯機は「洗濯槽(内槽)」と「外槽」の二重構造になっています。穴の開いた内槽が、水をためる外槽の中に入っている、という形ですね。
洗濯槽クリーナーは、この内槽の中にためた水に溶けて働きます。ところが臭いの本体がいるのは、内槽の「裏側」と外槽の「内側」——つまり普段まったく目に入らない、水流もほとんど当たらない隙間です。
薄い汚れなら塩素系クリーナーでも剥がれます。ただ、何年もかけてヘドロ状に厚く固まったものは、薬剤が表面をなでるだけで芯まで届きません。「クリーナーをやったのに臭う」のは、汚れの層がクリーナーの守備範囲を超えているサインだと思ってもらっていいです。
購入検討で心が折れる
11年も使ったし、そろそろ買い替えようかなぁと思い家電量販店へ洗濯機を見にいくことに。あこがれのドラム式に替えちゃおうかなぁ?という思いも虚しく、20万円超えの値段を見て完全に心が折れました😂
頭の中でドナドナが流れる中、肩を落としてトボトボ家路につくのでした・・・
業者に頼むと約¥15,000。それなら自分で
洗濯機の分解洗浄を専門業者に依頼すると、縦型洗濯機の相場は約¥15,000円。縦型かドラム式か、乾燥機能付きかどうかで金額はけっこう変わります。
以前エアコンを完全分解したときも同じ計算をしました。工具を買っても、業者代よりは安く上がるんじゃないか。しかも中身を自分の目で確認できる。仕事柄、機械の中身を見るのは嫌いじゃありません。
最悪、失敗しても安い洗濯機を買えばいいや〜と腹をくくり、やってみることにしました。
ちなみに我が家のビートウォッシュ(BW-D8SV/洗濯8kg・乾燥4.5kg)は使用年数11年、家族構成は4人(最近は1日平均3回使用)です。洗濯の回数が多い家ほど、内部の汚れの進み方も早くなります。

事前準備
まずはYouTubeでお勉強ということで、『ビートウォッシュ 槽洗浄』と検索すると、いくつも動画が出てきます。
なかでも一番説明が丁寧なこの動画を参考にさせてもらいました。
この動画を見て『これ、自分でもできるんじゃね?』と思えたのも、業者に頼まず自分で洗浄すると決めた理由のひとつです。
ぶっちゃけ、今なら¥15,000払ってでもお願いしたほうがいいかも…と思ってしまうほど大変だった・・・
用意したもの|工具と費用
今回の作業で必要になった道具をまとめます。金額は今回新たに購入したものだけを記載し、元から持っていたものは「¥0」としています。
| 工具・材料 | 用途 | 金額 |
|---|---|---|
| プラスドライバー(+2) | 外装・操作パネルのネジ外し | ¥0 ※ |
| マイナスドライバー | 操作パネルの取り外し 洗濯槽の汚れ取り | ¥0 ※ |
| スタビードライバー | フタの取り外し | ¥0 ※ |
| 38mmレンチ | 本体と洗濯槽との接続部のナット取り外し | ¥3,582 |
| ギアプーラー | 本体と洗濯槽の固着を剥がす | ※38mmレンチとセット購入 |
| プライヤー | ホースバンド・クリップの脱着 | ¥0 ※ |
| 洗剤(カビキラー) | 外槽・洗濯槽裏のヘドロ落とし | ¥385 |
| ブラシ類(デッキブラシ・歯ブラシ) | 汚れのこすり落とし | ¥220 |
| 養生シート・ウエス | 屋内作業時の床の保護、水の拭き取り | ¥0 ※ |
| ゴム手袋・マスク・保護メガネ | 薬剤とカビから身を守る | ¥330 |
| 高圧洗浄機 | 洗濯槽の汚れ落とし | ¥0 ※ |
| 合計 | — | ¥4,517 |
※既に手持ちの工具・材料
これがないと詰む工具
洗濯槽と本体を固定している38mmのナットを回せる工具です。ここが外れないと、その先の作業に一歩も進めません。
さらに、ナットを外しても洗濯槽と本体はガチガチに固着しています。ギアプーラーという工具を使って剥がさないと、まず取れないと考えたほうがいいです。
38mmレンチとギアプーラーはセットで販売されているので、ネット通販で探すのが便利です。
ネジ止めされている箇所が多いので、電動ドライバーがあるととても便利です。
電動ドライバーは、コンパクトなタイプが使いやすいよ!
あとはスマホのカメラ。工具ではありませんが、これが実質いちばん役に立ちました。外す前に必ず一枚撮る。この習慣がないと、組み立てのときに泣きます。
分解手順を写真で追う
作業は、屋内で分解して、外した部品を屋外に運んで洗う流れにしました。理由は単純で、浴室が汚れるのが嫌だったからです。
ただ、お湯が使えるぶん、洗う場所としては浴室のほうが向いています。屋外で水が使えないアパートやマンションなら、浴室一択ですね。
① 電源・アース線・給水ホースを外す

電源プラグを抜いたら、アース線を外します。アース線はネジ止めされているので、ドライバーで緩めて外します。
次に水栓を閉め、給水ホースを外します。ホースの中には水が残っているので、必ず水栓側(爪で固定)から先に外し、ホース内の水をバケツなどに出してから、本体側(ネジで固定)を外してください。
② パルセーター(回転翼)を外す

パルセーターというのは、洗濯槽の底でぐるぐる回っている羽根のこと。水流を作る部品です。
中央の固定ネジを外します。このとき、ネジ山をなめないよう、サイズの合った+2のドライバーを使ってください。
ネジを外せばパルセーターは取り外せますが、つかむところがなく、かなり外しにくいです。そんなときは、太めのワイヤーの先端を曲げて引っかけ、持ち上げると外しやすくなります。ワイヤーは使い古しのハンガーなどで代用できます。
外したパルセーターの裏側は、想像どおりでしたw 羽根の裏のリブの隙間に汚れが詰まっています。普段の洗濯では、この裏側は絶対に洗えません。
パルセーターの外し方は、この動画で詳しく解説されていて、とても参考になりました。
③ 上面カバーを外す

まず、上面カバー背面のネジ2本を外します。次にフタを開けて、操作パネルの両サイドに隠れているネジ2本を外します。

続いて、操作パネルをマイナスドライバーでこじると外れます。ツメを折らないよう、少しずつ力をかけてください。そのあと手前のネジ2本を外すと、上面カバーが外せます。
上面カバーを外すと、YouTubeで見たのと違う構造が・・・
マジか💦・・・と思いながら、撤退するか数秒考えましたが、ここまできて引き下がるのは癪に障ると思い、続行することにしましたw

ここで気づいたのですが、ハーネス(配線)のコネクタを外すのがかなり厄介でした。そこでコネクタは外さず、上面カバーは配線をつないだまま横に置いておくことにしました。カバーを持ち上げすぎると配線を引っぱって傷めるおそれがあるので、少し浮かせたら配線の余裕を確認しながら動かしてください。
④ 槽カバーを外して内部を露出させる

まず、ホース(4箇所)を取り外します。ホースバンドは手でも外せますが、難しい場合はプライヤーを使うと外しやすいです。
次に、洗濯槽の上にかぶさっているフタ(以下、槽カバー)を固定しているネジ8本を外します。奥のネジは取りにくいので、スタビードライバーを使うと便利です。
ネジ1本居なくなっちゃったw 拾おうと試みたけどまず無理なので速攻諦めた😂
槽カバーが外れると、洗濯槽を取り外せる状態になります。槽カバーも汚れていたうえ、よくわからない部品も一緒についてきたので、まとめて洗うことにしました。

⑤ 洗濯槽を引き抜く|最大の難所

ここが今回いちばん時間を食いました。正直、途中で「業者に頼めばよかったかもしれない」と思った瞬間があります。
内槽は中央の38mmのナットで軸に固定されています。このナットはかなりの力で固定されています。スペースが狭く、モンキーレンチなどはまともに入らないため、専用工具の購入が必要です。
問題はここからです。ナットを外しても、槽は簡単には抜けません。何年分もの汚れとサビで、軸と槽が固着しているからです。
この固着は、下の写真に写っているギアプーラーという工具を使って外します。中心のボルト部分を回していくと、洗濯槽と本体が剥がれてきます。実際、かなりの力で固着していました。
実際に購入したのは、38mmレンチとギアプーラーがセットになったこちらです。なお、ギアプーラーは自分で組み立てる必要がありました。
インパクトドライバーと38mmのソケットを持っているなら、ナット外しはかなり楽ちんになります。
あとは洗濯槽を引き抜けば完了です。洗濯槽はけっこう重かった・・・
【閲覧注意】内部はこうなっていた
ここからがこの記事の本題です。食事中の方はブラウザを閉じてください。冗談ではなく。
① 外槽の内側

いちばん衝撃だったのがここです。水をためる側、つまり外槽の内側の壁に、黒いヘドロ状の汚れが層になって張り付いていました。
「カビの点々がある」というレベルではありません。底の一面に、茶色がかった黒い汚れが広がって溜まっていました。壁面にも、水位の跡をなぞるように帯状に付着しています。
服に付いていた黒い異物の正体はこいつだったのね💡今思うとゾーっとするw ニオイもヤバかった・・・
② 洗濯槽の裏側

引き抜いた内槽を屋外に運び出して、もう一度驚きました。ステンレスの胴そのものより、槽の下部に茶褐色の汚れが厚く固まって付着していました。
洗濯中は、内槽と外槽のあいだを水が行き来しています。つまり毎回、この面に触れた水で衣類を洗っていたことになります。臭いの原因を探していた答えが、ここにありました。
正直、ここでもう「あ、これはやってよかったやつだ」と心の底から思いましたw
③ 軸まわりの固着汚れ

最後が軸まわり。外槽の底、軸の付け根には汚れが盛り上がるように厚く固まっていました。ブラシで軽くこすった程度ではびくともしません。
実際には、マイナスドライバーで掘り起こして汚れを取り除きましたw 耳掃除で大量に取れたときのイメージw
結論:厚く固まった汚れに洗濯槽クリーナーは届かない
実物を見たうえで、はっきり書きます。外槽の内側や軸まわりに厚く固まった汚れは、洗濯槽クリーナーでは落としきれません。
クリーナーが効かないわけではありません。汚れが薄いうちなら効くけれど、厚く固まってからでは薬剤だけでは落とせないということです。定期的にクリーナーを使っている人ほど、この状態にはなりにくい。逆に、何年も放置してから慌ててクリーナーを流しても、ここまで固まった汚れには追いつきません。
洗浄作業|屋外で洗い上げる

外した部品は、すべて屋外に運んで洗いました。あまりに汚くて臭うので、浴室で洗うのはやめました。
使った洗剤はカビキラー。汚れの落ち具合は◎でした。
作業のコツは、いきなりブラシでこするより、先に洗剤を塗って時間を置き、汚れを緩ませてから落とすほうが圧倒的にラクです。固まった汚れを力任せにこすっても、効率が悪いです。
ただ、これだけの汚れなので1回では落ちず、洗剤はかなり使いました。
洗い終えたら、しっかり乾かします。乾燥にかけた時間は2時間程度。水気が残ったまま組み戻すと、せっかく洗ったのに湿気がこもります。急がば回れです。


細かい部品まですべて洗浄しました。細かい部分は、使い古しの歯ブラシでこすりました。

洗濯槽の穴が開いている部分に高圧洗浄機を当てると大量の黒いカスが・・・
調子に乗って洗浄していると、赤い点線の部品が外れました。その中にも黒いカスが溜まっていたので、4箇所全部外してキレイにしました。
しかし・・・この部品は外れるけど取り付けが難しく、かなり苦戦しました。結局、爪がいくつか折れた状態でなんとか取り付けました。この部品は、外さないほうがいいです。
高圧洗浄機があれば隙間汚れもかなり落ちるので、楽ちんだよ!ハンディタイプで十分でした
ハンディタイプの高圧洗浄機は、エアコン洗浄にも使えるので1台持っておくと便利です。エアコンを洗浄した記事も書いているので、やってみたい方はぜひチェックしてみてください。

本体側の外槽もカビキラーでガシガシ洗いました。水が抜けなかったので、紙コップですくって排水しながら洗浄しました。
作業前に水が抜ける状態にしておけばよかったです。
組み立てとトラブル|正直に書きます

組み立ては、基本的に分解と逆の順番です。手順そのものより、重たい洗濯槽を戻すところが大変でした。
洗濯槽を入れる際は、軸に切り欠きがあるので、向きを合わせて差し込んでください。

洗濯槽が収まったら、38mmのナットを締めて固定します。あとは分解と逆の順番で、槽カバー(ホース接続・ネジ止め)→上面カバー・操作パネル→パルセーター→アース線・給水ホース・電源プラグの順に戻せば完成です。
作業中にやらかしたこと
「失敗した点」も正直に書いておきます。今回、作業中にやらかしたのは次の3つです。
- ネジを1本、拾えない場所に落として回収をあきらめた(④の作業中)
- 洗濯槽の部品を外したら元に戻すのが難しく、爪を何か所か折ってしまった(洗浄作業中)
- 外槽の水が抜けず、紙コップですくいながら洗うはめになった(洗浄作業中)
落としたネジが本体の中に残っていたり、爪の折れた部品が外れたりすると、異音や故障の原因になることもあります。ネジは受け皿などでまとめて管理する、外さなくていい部品には触らない、作業前に排水できる状態にしておく。この3つは、これからやる方にぜひ守ってほしいポイントです。
試運転は必ずこの順番で
組み終わったらすぐに洗濯物を入れたくなりますが、その前に必ず空の状態で試運転をしてください。
- 給水だけを行い、いったん止める。給水ホースの接続部と本体の底に水漏れがないか、床にウエスを敷いて確認する
- 問題なければ洗い(低速回転)。異音、金属が擦れる音がしないか耳で確認する
- 次に排水。排水ホースの接続部から漏れていないか確認する
- 最後に脱水(高速回転)。ここで異常な振動やガタつきが出たら、すぐ止めて組み直す
- ひと通り終わったら、本体の下と背面を手で触って濡れていないかを最終確認する
かかった費用と時間|業者と比べてどうか
| 項目 | 業者に依頼した場合 | 自分でやった場合 |
|---|---|---|
| 費用 | 約¥15,000 | ¥4,517 |
| 拘束時間 | 作業の立ち会いが必要 | 約6時間 |
| 作業日数 | 1日 | 1日 |
| 失敗のリスク | 業者が負う | すべて自己責任 |
| メーカー保証 | 業者・契約内容による | 切れる |
| 仕上がりの確認 | 業者による | 自分の目で全部見られる |
金額だけを並べると自分でやったほうが安く見えます。ただ、使った時間と、失敗したときに買い替えになるリスクを費用に換算すると、この表ほど単純な話ではありません。
「安いからDIY」ではなく、「中身を見たいからDIY」。私の場合は完全にそっちでした。
正直、自分でやるのはおすすめできる?
ここは煽らずに書きます。全員におすすめはできません。
向いている人
- ネジを外して元に戻す作業に、それなりに慣れている
- 保証が切れていて、最悪壊れても買い替えを受け入れられる
- 汚れ・ニオイを受け入れられる
- 作業を手伝ってくれる人がいる(洗濯槽は本当に重いです)
やめたほうがいい人
- 保証期間内、または購入して間もない機種を使っている
- 洗濯機が1台しかなく、数日使えないと生活が回らない
- 工具を持っておらず、一式そろえると業者代に近づいてしまう
- 一人暮らしで、重い槽を持ち上げる手が足りない
メーカー保証は確実に切れます
洗濯槽クリーナーで十分な人もいます
そのうえで、誠実に書いておきたいことがあります。全員が分解する必要はありません。
使用年数が浅い、これまで定期的にクリーナーを使ってきた、洗濯後にフタを開けて乾かす習慣がある——こういう家庭なら、汚れがヘドロ化する前の段階のはずです。その段階なら、市販のクリーナーで十分に対処できます。
分解が必要になるのは、あくまで「クリーナーを何度やっても臭いが戻る」ところまで進んでしまった場合。判断の目安にしてもらえればと思います。
洗濯槽をキレイに保つには
こちらの動画が参考になりました。塩素系と酸素系の洗濯槽クリーナーはそれぞれ役割が違うので、交互に使うのが効果的なんですね!
せっかくキレイにしたので、この状態を維持していきたいですね。この記事で書いたとおり、ポイントは汚れがヘドロ化する前にケアすることです。
- 定期的に洗濯槽クリーナーを使う(汚れが薄いうちなら落とせる)
- 洗濯が終わったらフタを開けて、槽の中を乾かす
まとめ

- 外槽の内側や軸まわりに厚く固まった汚れは、洗濯槽クリーナーでは落としきれない。臭いが戻るのは、そこに汚れが残っているから
- 分解洗浄は、工具と時間があれば素人でもできた(費用約4,500円・作業1日約6時間)。ただし簡単ではなく、汚れとニオイは強烈!
- メーカー保証は確実に切れる。保証期間内なら、自分で分解せずメーカーや販売店に相談するのが正解
ちなみに我が家では、同じ要領でエアコンも完全分解して洗いました。あちらも「クリーナーでは届かない場所に汚れが溜まる」という点はまったく同じで、送風ファンの裏側から出てきたものは、今回の汚れに負けていませんw
手順や必要な工具はこちらにまとめてあります。あわせてどうぞ。
しっかり失敗もしています😂
家電の中身は、開けてみないとわかりません。開けたら開けたで後悔することもありますが、それでも「毎日使っているものが、いま実際どうなっているか」を自分の目で確かめられたのは大きかったです。
同じ臭いに悩んでいる方の判断材料になれば嬉しいです。ではまた。
